一九九九年六月十四日、日本経済新聞夕刊の一面に、ソフトバンクが米国のナスダックと一緒に組んで新しい株式市場「ナスダック・ジャパン(現在の大証ヘラクレス市場)」を創設するというニュースが載った。このナスダック・ジャパン最大の売りは、赤字企業でも株式公開できること。すでに、米国はナスダックを中心とした、空前の株高ブームに沸いていた。日本の投資家たちは、このナスダック・ジャパン創設のニュースに狂喜する。先を越されるかたちになってしまった東京証券取引所は、同じ年の十一月、同じように赤字企業でも公開できる、上場基準の甘い「マザーズ」を開設する。そして、これをきっかけに、ネット企業は一気に株式公開ブームに突入していく。まずは十二月二四日、インターネット総合研究所とリキッドオーディオ・ジャパンが、マザーズ上場第一号企業となる。いずれも、予想を大幅に上回る株価をつけての上場だった。この勢いは、そのまま二〇〇〇年に引き継がれ、二〇〇〇年はかつてないネット企業の株式公開ブームに沸くことになる。三月にはクレイフィッシュとサイバーエージェント、四月にはライブドアと楽天が株式を公開する。
大学新卒の採用ということを例に考えてみましょう。従来なら、各会社は就職斡旋や仲介をしている会社に、求人情報を渡します。そして仲介会社は理科系か文科系かといったいくつかの分類はするものの、ほとんど同じ内容の分厚い就職ガイドの本なり、雑誌なりをどさっと学生に送るわけです。ほとんど同じ、均一なものを個々の異なる要求をもった学生に対して配っている。学生は、そのなかから自分の就職先を選ばなければいけないのですが、選んでいくための方法も、会社の名前をきいたことがあるとか、そのようなところから入るのがせいぜいで、そのため本当に自分が働きたいところを見つけ出すということには、たいへん大きな障害があるかもしれません。これは雇用する側からみても同じような事情です。応募してくる学生を一面的に見るしかないし、提供した情報がどういう人たちの目にふれているかということにもあまり期待はもてないでしょう。ここにインターネットの規模と多様性、そして双方向性を利用していったとき、大きく事情は変わるし、具体的に少しずつ利用されてきています。
ネット広告のすぐれた点は、広告に対する利用者のレスポンスを直接測定できる点にある。測定という意味では、以前は(と言っていいだろう)「クリック保証型バナー」という、バナーヘのクリック数が所定の回数に達するまで表示を保証する、広告会社にとっても媒体社にとっても酷な広告手法があった。ウェブサイトのバナー広告が少なかったころは、物珍しさも手伝ってビジネスになっていたが、サイ卜数が爆発的に増えておびただしい数のバナーが表示されるようになり、さらに、魅力のない製品・サービスであればなおさらクリックを保証することはできない。結果、クリック保証型バナーは現在、取り扱うサイトが激減してしまったものの、ただ、クリック保証や、クリックに応じた課金というネットだからこそ可能な測定と効果は、ブラッシュアップされて「検索連動型広告」(P4P〈PayforPerformance〉と呼ばれる。コンテンツ連動型広告もP4Pに含まれるが、ここでは検索連動型広告について述べる)となり、ネット広告成長の原動力になっている。
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